AIができることを人はなぜ学ぶのか

北海道大学|生成AIに問われる大学の意義

AIができることを人はなぜ学ぶのか

専門性を育て、AIと学び続ける大学へ

森木 銀河

2026.09.25
01

森木 銀河

森木銀河

森木 銀河もりき ぎんが

会社員 / gmoriki 代表

大学・教育機関の
AI人材育成と活用支援

東京都市大学・九州大学での実務を経て、
民間企業と大学の双方に関わっています。

02

今日考えたいこと

03

成果を生むのは AIだけではない

01

成果を生むのは
AIだけではない

私の実践から人の専門性が働いた場所を見る。

01 04

Codexはファイルを扱い仕事を進めるAIエージェント

OpenAI

読む資料・ファイルを調べる
作るコードや成果物を作成する
直す実行し、確かめて修正する

利用前に確認所属大学が認めたAIとは限りません。
使えるサービスと入力できる情報の範囲を学内で確認してください。

01 05
私の実践大学の公開データを比較するアプリ

大学の公開データを比べるアプリを制作し公開した

UniFactBook
Cowork / Code

大学の公開データを
閲覧・比較する

構想を実際に使える
形にするところまで。

公開したアプリの実画面
01 06
私の実践WAS 2026|参加者用ワークブックの実画面

AI研修の教材だけでなく研修を動かす仕組みも作った

参加者用ワークブックを開く ↗
  1. 連絡を届ける講師のメッセージ
  2. 進行を共有する現在地・変更後の時刻
  3. その場で取り組むワークと入力欄
01 07
私の実践試作品を読んでAIに修正を求めた場面

AIで教材はできた。でも、このままでは使えない

最初の試作品
企画・教材・ワークが
一通りそろった

試作を読んだ私

「ワークが細切れになっている」
「実利ばかりで、生成AIを使う意味を
考えるワークになっていない」

何をよい研修とするかを問い返した。

01 08

AIは人の知識と経験を大きな成果につなげる

支点になるのは、何をよいとするかを判断する力。

01 09

AIに仕事を任せるために 人が学ぶ

02

AIに仕事を任せるために
人が学ぶ

知識獲得のパラドクスから大学の役割を考える。

02 10
他者の経験Ethan Mollick|自身の論文の批評をAIに依頼した報告

一年かけた論文の誤りをAIが見つけた

Mollick自身の論文執筆に一年以上
940

詳細な批評が返った

著者が確認表の数値に
小さな不整合

AIが述べた分析のすべてを
検証できたわけではない。

02 11

AIに仕事を任せるには知識が要る。その知識を得る過程もAIに任せられる。

知識獲得のパラドクス使いこなす土台を
どこで育てるのか。

これから学ぶ人にも
読む・考える・確かめる
経験が要る。

02 12

AIに学ばせることと人が学ぶことは分けて考える

AIの側で進むこと

知識や手順を渡す

資料を読み、仕事に使い、
成果物を作れるようにする。

人の側に残ること

知識を身につける

内容を理解し、理由を説明し、
別の場面でも使えるようになる。

成果物が手元にあることは本人が理解した証拠にはならない。

02 13
研究Bastaniら|高校数学・約1,000人の実験

AIと数学の問題を解けても身についたとは限らない

高校数学の実験AIを使う練習AIなしの後続試験
通常の
チャット型AI
成績が向上
対照群を下回る
学習を支える
設計のAI
解き方を考える支援
悪影響が大きく緩和

AI利用中の成績と本人の知識獲得を分けて確かめる。

02 14
研究Kestinら|学習用AIチューターと対面授業の比較

AIの支援で人の学びを深める設計もある

条件 A学習用に設計した
AIチューター

専用の教材と対話で学ぶ

条件 B対面の
アクティブラーニング

教室で授業を受ける

大学初年次の物理・194人・2単元授業直後のテスト成績はAIチューターの条件で高かった。
02 15

人の専門性を育てるためにAIとの距離を変える

共通の目的 自分で理解し判断できるようになる
あえてAIを外す自分で読み
理由を組み立てる。

まず自分の言葉で説明する。

AIを取り入れる問い返してもらい
考えを確かめる。

反例や別の説明と比べる。

決めたいのは使用の有無より、本人が経験すること。

02 16

大学は学生と教職員の専門性をどう育てるか

大学が育てるAIと協働するための人の専門性
職場として職員が
業務を理解する

判断の理由を説明し
次の担当者へ引き継ぐ。

教育機関として学生が
知識を身につける

自分で考え、確かめ
別の課題でも使う。

研究機関として研究者が
問いと解釈を鍛える

AIの提案を検討し
新しい問いを立てる。

社会に学ぶ必要を説く大学が自分たちの学びも設計する。

02 17

選ばない知性

03

選ばない知性

AIの変化に応じて使い方と評価基準を問い直す。

03 18

AIの得意と不得意は仕事ごとに入り組んでいる

研究で見られた違いBCGの
758人を対象に
GPT-4を検証
2023年の課題実験
商品企画など速さ・品質が
上がった
資料から
成長ブランドを選ぶ
正答率が
下がった

ギザギザの技術的フロンティア「AIなら何でも得意」とは決められない。

03 19

AIで仕事が変わる。何を「よい」成果とするかも問い直す

盤面と手駒どの道具で
何を任せられるか。
盤面の外の採点表何を成果として
評価するか。

いまの攻略法がこれからも正解とは限らない。

03 20

AIへの任せ方は決める。仕事の目的と評価基準は問い続ける

今日の仕事は進める。その勝ち方を最終解にしない。

選ばない知性何をよいとするかがまだ変わりうる間、
結論を早期に確定せず、判断基準を検討し続ける力。

03 21

AIの変化から学び仕事の選択肢を広げる

道具が変わっても持ち越せるもの任せる条件を
見分ける力。
別の組み合わせを
考える力。
よさの基準を
問い直す力。

変化に応じるたびに判断の手立てを増やす。その反脆さを育てたい。

03 22

人とAIを ブレンドする

04

人とAIを
ブレンドする

専門性と遂行力を混ぜ、自分たちの価値をつくる。

04 23

人の見立てとAIの実行を混ぜる。何を実現するかも問い続ける

人の専門性意味を理解し
違いを見抜く。

「ここが、違う」
「こうしたい」

試作品
案を囲んで
考えと形を変える。
AIの汎用的な遂行力調べる・作る・
直す・動かす。

別案を試し
実物で応える。

選ばない知性誰に何を任せるか。
その組み合わせで何をよい成果とするか。
04 24

自分たちにしか出せない人とAIのブレンドを探す

持ち味を知り、混ぜてみる人の専門性
+ AIの遂行力

同じ材料でも
組み合わせで味が変わる。

そして味見をする何をよい味とするかも、
問い直す。
04 25

「わたし」「私たち」「AI」「AI群」四つの主体を混ぜて働く

役割を決めて終わりではなく、やりとりの中で組み替える。

04 26
想定ケース高校生向けに研究室を紹介するページを制作する

高校生に研究のおもしろさを伝えるページを作る

避難時の人の流れを調べる研究室
人はどう逃げる?
その動きを調べる研究。

高校生が研究室を
のぞいてみたくなるページに。

04 27

人とAIで研究紹介の案を練ると次に考える問いも変わる

研究室紹介1. 場面2. 一緒に練る3. 任せる範囲
04 28

仕事の範囲を決めてAI群に任せ切ってみる

研究室紹介1. 場面2. 一緒に練る3. 任せる範囲
04 29

AI群の仕事を見て指示と環境を整える

AI群と働く環境を畑になぞらえるすべての反応を
思いどおりにはできない。

それでも環境は変えられる。

土を整える
資料・道具・権限
状態を見る
成果物・作業の履歴
手を入れる
指示を変える・実行を止める
04 30

AIと学び続ける 大学へ

05

AIと学び続ける
大学へ

協働の経験を次の仕事と学びへつなぐ。

05 31

研究紹介で得た工夫を次の仕事に引き継げるか

あの研究紹介で得た工夫は次の仕事へ。
同僚へ。
次のAIへ。

誰が何を
受け取れるだろう。

一度の協働から経験を持ち越せる仕組みへ。

05 32

AIの利用経験が次の仕事に生きるとは限らない

個人の行き詰まり、チームの属人化、毎回のやり直し。

05 33

AIとの仕事を別のAIと振り返る

成果物だけでなく頼み方・迷い・修正の理由を読む。

05 34

AIへの依頼を振り返り、新しい任せ方を試す

研究紹介の仕事で考える活用アドバイスの想定例

助言の例:「入口の違う案と、読者の疑問も出させてみては。」

05 35

繰り返す指示を次のAIの手順にする

私の実践|資料制作スキルの実在する見出しを抜粋

制作のたびに伝える

論旨を先に確かめて

関係を図で見せて

実際の表示を見て

指摘の文言は説明用に再構成
SKILL.md
資料制作の共通手順
  1. 先に論考を書く。
  2. 関係に合う図へ移す。
  3. 実表示と操作を確認する。
指示・手順・参照資料をまとめる
AI次の仕事で
読み込む

手順と見本から
制作を始める

共通の手順をAIへ渡し、今回の相手に何を伝えるかを考える。

05 36

AIへの指示を整理し、自分の判断基準も見直す

研究紹介の想定例|「分かりやすい」の中身を確かめる

繰り返していた指摘
もっと
分かりやすく。

何を変えたいのか
自分でも曖昧だった。

今回何を大切にするか

専門語を減らすこと?

研究の問いに
関心を持ってもらうこと?

次の指示へ高校生が研究の問いに関心を持てる導入を
二案作って比べる。
05 37

自分のAI活用の工夫を同僚が試せる方法へ

使う場面・必要な材料・判断の理由も一緒に渡す。

05 38

AIに残す手順と人が育てる判断力

スキルとともに、選んだ理由を説明し、別の仕事でも判断する経験を残す。

05 39

完成品だけでは学生の学びの過程を見分けにくい

学習過程の模式図

対話や改稿から比較・問い返し・考えの変化も見る。

05 40

学習過程の評価を次の学習支援につなげたい

評価の根拠を確かめて次に取り組む問いを変える。

05 41

現場のAI利用から大学の支援を見直す

AIガバナンスに試行・学習・利用を続けられる条件を組み込む。

05 42

AIでできることが変われば仕事の目的も問い直す

研究紹介読みやすい
ページを作る

AIで作る速さと質が上がる

その先に
何を実現したいか
研究に触れて
問いを持つ入口を作る?

手順を磨く。同時にその手順で実現したいことも検討する。

05 43

AIと何を実現するかを 自分たちで考え続けるために学ぶ。

AIに任せる時代に人はなぜ学ぶのか。

AIと何を実現するかを
自分たちで考え続ける
ために学ぶ。

大学自身も協働の経験から学ぶ組織へ。

森木 銀河

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